先輩方からのメッセージ
板橋 美津世 (いたばし みつよ)
東京都健康長寿医療センター 腎臓内科・透析科
老年医学を志したきっかけ
東京都健康長寿医療センターに腎臓内科医として赴任したことをきっかけに老年医学に興味を持つようになりました。高齢者の多い当院では、総合機能評価、栄養評価、退院支援など老年医学の考えが多職種に根付いており、日常臨床を行ううえでも必須の知識になっていました。また、腎臓内科は全身を診る必要があり、老年症候群への理解は必要不可欠と感じました。
実際に老年医学を学び、実践して感じた魅力や学び
高齢化によって慢性腎臓病(CKD)の患者数は増加しており、透析導入年齢も高齢化しています。透析導入レベルとなった高齢者の腎臓治療は、ご本人の状態のみならず、社会生活背景を含めた多方向からのアプローチが必要になります。老年医学を学びフレイルなどの身体評価を診療に取り入れることにより、透析などの侵襲度の高い治療に対する忍容性の評価がしやすくなりました。また、超高齢者、身体機能が低下している患者さんに対してはACPをとることによって、患者さんへの理解が深まりお互いの信頼関係が築きやすくなることを学びました。
現在の診療内容や取り組み、日々感じるやりがい
高齢者は個人差が大きく、フレイルや認知症の程度も様々です。フレイル、認知機能は、多くの疾患において予後悪化因子になることは知られていましたが、末期腎不全、血管炎においても予後因子になっていることを知りました。そのため、侵襲的な治療介入をする際には、フレイルを含めた総合機能評価を行い、治療に役立てるようにしています。高齢者におけるQOLの維持は最重要課題であり、治療介入によって寝たきりや長期入院になることをできるかぎり避けるべきです。腎代替療法においては、体外循環への忍容性を評価のうえ、腹膜透析や保存的腎臓療法など多方面の選択ができるように支援しています。また、透析患者については透析導入後も定期的にフォローアップし、フレイルを悪化させないように身体機能や栄養評価を行い心血管合併症の早期発見に努めるような取り組みを行っています。
これから老年科医を志す後輩へのメッセージ
CKDの増加に伴い高齢者医療かつ腎臓病治療の両方を管理できる医師の需要は高まると思います。老年の分野では腎臓内科医がまだまだ少なく、益々の発展が望まれます。新しい力が加わり老年腎臓内科が活性化することを期待しています。
プロフィール
東京女子医科大学医学部卒業、腎臓内科入局、2013年同講師、2016年より東京都健康長寿医療センター腎臓内科・透析科
※ 2025年11月掲載。所属は掲載当時のものです。


