先輩方からのメッセージ

横山 美矢子

横山 美矢子 (よこやま みやこ)

特定医療法人竹下会 竹下病院 老年内科

老年内科医になるきっかけ

 もともとは、高知大学医学部老年病・循環器内科で心エコーを中心に診療していました。ある日、教授から「フレイル外来を担当してほしい」と声をかけられました。当初はフレイルについての知識が全くなく、一から勉強を始めました。その過程で、教授から老年科専門医の取得を勧められたことが、老年内科を志すきっかけとなりました。

実際に老年医学を学び、実践して感じた魅力や学び

 老年医学を学び、実践する中で強く感じているのは、患者さん一人ひとりに、それぞれの人生の物語があるということです。70代で寝たきりの人もいれば、90歳を超えても元気に過ごしている方もいて、実年齢と身体の状態は必ずしも一致しません。これまで辿ってきた経過も、これからの歩み方も、本当に様々だということを日々診療の中で実感しています。

現在の診療内容や取り組み、日々感じるやりがい

 フレイル外来での診療を通じて、適切な指導には確かな知識が必要だと感じ、日本サルコペニア・フレイル学会が認定しているサルコペニア・フレイル指導士を取得しました。多職種連携に加え、指導士同士のつながりも重要と考え、高知県内の指導士に声をかけ、研究会という形で活動も始めています。今後は講演や勉強会などを通じて、地域に根ざした活動を広げていきたいと考えています。また、高齢社会の進行とともに認知症の患者さんも増加しており、認知症に対する診療や介入も担えるようになることが今後の課題だと感じ、現在は認知症専門医の取得を目指して研修しています。また、高齢者診療では、明らかな器質的異常がなくても、倦怠感や食欲不振などの訴えが多く、検査所見に異常がなければ「経過観察」とせざるを得ない場面も少なくありません。そうした中で、患者さんが「症状が改善しないこと=希望がない」と受け取ってしまうことを少しでも減らすための選択肢として、漢方の学習も始めました。実際に、「あの薬で少し楽になった」といった声をいただくこともあり、治療の幅を広げる一助になっていると感じています。

これから老年医学を志す、老年医学を学ぶ後輩へのメッセージ

 老年内科の魅力は、一人ひとりの高齢者が歩んできた人生の背景に思いを馳せながら、その人にとって最善の医療を提供することにあると思っています。
 多数の疾患を抱えることの多い高齢者に対しては、検査所見だけでなく、価値観や生活歴、身体機能といった全体像を俯瞰しながらアプローチする力が求められます。医療的な判断と同時に、その人が何を大切にしているかを見極め、医学的な最適解と人生の最適解の接点を探る、それが老年内科医としてのやりがいであり、奥深さだと感じています。

プロフィール

 高知大学医学部卒業後、高知大学医学部老年病・循環器内科に入局。現在は大学でフレイル外来を行いつつ、普段は特定医療法人竹下会 竹下病院で認知症診療の研修を行いながら高齢者診療に従事しています。

※ 2025年11月掲載。所属は掲載当時のものです。